うろたんけ
以前、とある仏具店の不思議な店長さんに、「あなたは日明という場所と深い関係がある」と言われ、自身が小倉北区日明にある病院で産声をあげたことを思い出したことがある。
平成20年9月に30歳を迎える私は、「嘘だろう」と疑われるほど、この小倉という町のことを知らない。先週の休日には、田川出身の妻にクレアトゥールのオフィスがある小倉北区大門周辺の歴史を教えてもらった。
非常に残念な現状である。
そのオフィスから全速力で1分ほど走った所に、JR西小倉駅が見える。かつて小倉駅だったこの駅界隈は町の中心地として栄えた当時の面影を残し、独特の空気を漂わせている。
「いらっしゃいませ!」
懐かしい声で出迎えてくれたのは、小倉北区室町で「焼きやき屋 うろたんけ」を経営する入倉健太郎さん。
初めて彼と出会ったのは、彼が当時リバーウォーク北九州の「べんきょう屋」という料理店のマスターをしていた頃。
「人を観察するのが好きなんです。」
初対面の時、彼は私が「べんきょう屋」に入るまでの行動を全て把握していた。
いつ、誰に見られても恥ずかしくないように行動することの大切さ、価値を教えてくれたのは、彼だったような気がする。
センスある人。
お店には入倉さんの書いたお品書きがある。
筆文字で書かれたそのお品書きを見て、当時かなりの衝撃を受けた。
絶妙な筆使いで書かれたその字を見て、料理を食べるまでもなく、大胆且つ繊細な仕事をする人なのだな、ということが分かった。
彼の書いたお品書きは現在も「うろたんけ」で見ることができる。
「うろたんけ」はリバーウォーク北九州の正面向かい側、グルーヴミュージックのある路地に面している。広島県出身の彼は、私の知らない理由で「小倉」という町、室町という空間を愛しているのだ。
初めて入った「うろたんけ」には、入倉さんの世界が広がっていた。
ねぶた風のテント
昭和を感じさせるメンコ達
壁に描かれた謎の絵
全ての料理を生み出す広島県出身の鉄板
お店の横の、ワーゲンバス。
すべて初めて見るものなのに、すべてが懐かしい。
「会社でブログを書くことになって、小倉という町をテーマにしようと思っているんです。入倉さんの料理中の写真を撮ってもいいですか。」との突然のお願いにも、快く承諾してくださった。
優しい兄のような存在。
「堀田さん、またゆっくりお話しましょう!」
そう言って、彼はまた、次の鉄板料理にとりかかった。
心と体をお腹いっぱいにして、店を出た。
「また来よう。」
小倉に生まれて良かった。
※お店は平成20年8月に、同じく室町のどこかに移転の予定。
※いつもお客さんでいっぱいなので、前もって予約が正解スタイル。
※室町地区では西小倉駅前地区市街地再開発準備組合による地上44階建ての高層マンション建設が計画されており、街中居住やにぎわいの促進効果が期待されている。しかし、旧長崎街道という歴史ある区画や古き良き時代のレトロな雰囲気のある店舗などとの整合性のとり方に対する問題も同時に抱えている。
















