鴎外橋を渡れば
先週までかろうじて残っていた桜もついに散り去り、青々とした葉桜が凛と立っている。
4月の終わり―。
少なくとも私の中では、3月は別れの月、4月は出会いの月である。転任する人、退職する人、それを見送る人。
道を歩いていると、モノクロームの衣装が目立つ。どことなく自分まで新鮮な気分になる。
終電近くのモノレールでは、さっそく疲れた様子を見せうつむく新入社員。その横には目線を前にして凛と立つ青年がいる。
どちらになりたいか、2秒間考える。
クレアトゥールのオフィスが大門に移ってから、変わったことと言えば、自宅からオフィスまでの道のりだ。歩く距離もいく分長くなった。
魚町銀店街を抜けて、鴎外橋へ。朝から散歩をするように紫川を渡る。人間に少し馴れている鳩たちは私を横目で見つつ首を縦に振った。全てが平和に感じる。
橋からは、市庁舎、新しくなった小倉北警察署、小倉城、そして、独特の外観を装ったリバーウォーク北九州が見渡せる。実に混沌としているが、過去と現在が入り交じる北九州、小倉らしい景色だ。心がはずむ。
次に私は、小倉城を囲む堀のらち沿いを歩く。鯉の数を数えながら思う。この辺りには沢山の思い出が落ちている。特にこの桜の季節は思慮深い。高等学校の制服を新調したのはこの場所だ。娘が生まれる前、この場所でよく珈琲を飲んだ。夜桜が綺麗で、人知れず写真に収めた。オフィスが移転して、新たな気持ちを胸に歩いた。
全ての思い出が交錯し、そして私は今もこの場所を毎朝、毎晩のように通っている。
リバーウォーク北九州の中を抜けて旧電車通りへ出る。オフィスまで、もう5分もない。93番、1番、83番。いつものバスが通る。いつも同じ人とすれ違う。余りにも同じ人とすれ違うので吹き出しそうになるが、我慢して表情には出さない。
仕事帰り。全く同じ道を通り、夜の鴎外橋を渡る。サラサラ風が気持ち良い。
終電近くのモノレールでは、さっそく疲れた様子を見せうつむく新入社員。その横には目線を前にして凛と立つ青年がいる。
吊革を手に景色を眺めた。
うつむく新入社員の横で、思う。
自分はなんて幸せなんだろう。
沢山の人に支えられて生きている。
玄関の前。
家の中からは、ハンバーグの香りが漂っていた。
※リバーウォーク北九州は今年で5周年を迎える。これに併せて、小倉城のお堀に5,000匹の鯉のぼり (一つ一つに参加者のメッセージや絵が描かれている) を掛ける子供の日のイベントや、5倍ポイントデーなど 「5」周年 に掛けた催しを展開中。
※小倉城は1959年に外観復興した。この小倉城、実は鉄筋コンクリート造り。
















